近年、住まいの空間をより有効に活用しようという考え方から、廊下を設けない間取りが注目を集めています。
限られた敷地面積でも、居住空間を広く取れたり、家事の動線をスムーズにしたりできることから、その魅力に惹かれる方も多いでしょう。
しかし、廊下がないことで生じる可能性のある課題も理解し、計画的に進めることが大切です。
ここでは、廊下がない家の特徴と、後悔しないためのポイントについて解説します。
廊下がない家とはどんな家か
スペースを有効活用できる
廊下をなくすことで、その分の床面積をリビングやダイニング、居室、あるいは収納スペースに充てることができます。
これにより、建物全体の居住空間を広げることが可能となり、限られた敷地面積でもゆとりある間取りを実現しやすくなります。
例えば、4畳ほどの廊下スペースをなくすだけで、ファミリークローゼットやシューズクロークといった大容量の収納スペースを確保することも夢ではありません。
リビングの拡張や、独立した書斎、趣味の部屋、子供の遊び場など、ライフスタイルに合わせた多様な使い道が生まれます。
家事動線が短くなる
廊下がない間取りでは、各部屋へのアクセスが近くなり、移動距離が短縮されます。
特に、キッチンから洗濯スペースやリビング、水回りへの移動がスムーズになるため、日々の家事の効率が格段に向上し、負担軽減につながります。
例えば、洗濯物を干す場所がキッチンやリビングから近い配置になれば、移動の手間が省け、効率的に家事をこなせるでしょう。
共働き家庭での時間創出や育児との両立にも貢献し、生活の質を高める可能性があります。
開放感のある空間が生まれる
廊下で空間が分断されないため、リビングを中心に各部屋がつながるような間取りが多くなります。
これにより、視覚的な広がりが生まれ、開放的で明るい空間を演出しやすくなります。
家族が自然とリビングに集まりやすくなり、コミュニケーションを育む空間としても機能するでしょう。
勾配天井や吹き抜けを採用したり、大きな窓を効果的に配置したりすれば、さらに開放感を高めることができます。

廊下がない家で後悔しないためのポイントは
プライバシーや音への対策
廊下がない間取りは、部屋同士が直接つながりやすいため、家族の気配や生活音が響きやすいという側面があります。
特に、寝室とリビングが近い場合、夜間など静かに過ごしたい時間帯に音が気になったり、プライベートな空間が丸見えになったりする可能性があります。
対策としては、寝室をリビングから遠ざける、スライドドアや間仕切り壁で緩衝地帯を設ける、壁や天井への吸音材の採用、床に防音カーペットを敷く、といった方法が考えられます。
二重窓や気密性の高い建具の採用も、外部からの音の侵入を防ぐのに役立ちます。
家族構成やライフスタイルに合わせて、これらの対策を組み合わせることが重要です。
冷暖房効率やニオイの対策
広々とした一体空間は、冷暖房の効率が低下する場合があります。
冬場は暖房の熱が天井に溜まりやすく、足元が冷えたり、夏場は冷気が届きにくく室温にムラが生じたりすることが考えられます。
これに対しては、シーリングファンで空気を循環させる、床暖房を導入する、あるいは高気密・高断熱の家づくりを基本とする、全館空調システムを検討するといった対策が有効です。
特に高気密・高断熱は、冷暖房負荷を軽減し、効率を高める基盤となります。
また、キッチンの調理臭や生活臭が家全体に広がりやすい点には、高性能な換気扇の設置や、消臭効果のある壁材(珪藻土、漆喰など)の採用、窓の配置を工夫して風の通り道を作るなどが考えられます。
収納や耐震性の確保
廊下部分に設けられることの多い収納スペースがなくなるため、日用品や季節物の収納計画は、慎重に立てる必要があります。
壁面収納や造作家具、床下収納、階段下のスペースなどを有効活用し、十分な収納量を確保することが重要です。
これらのスペースを計画的に設けることで、散らかりやすい空間を整理整頓し、快適な住まいを維持できます。
また、廊下をなくすことで壁や柱の数が減り、建物の構造的な強度が低下する可能性も指摘されています。
耐震性を確保するためには、建築基準法に基づいた構造計算を行い、耐力壁の配置を工夫したり、制震ダンパーといった構造補強材を導入したりするなど、専門家と十分に相談しながら、建物の安全性を高める設計を行うことが不可欠です。

まとめ
廊下をなくす間取りは、空間の有効活用や家事動線の短縮、開放感の創出といった多くのメリットをもたらします。
しかし、プライバシーや音、ニオイ、冷暖房効率、収納、そして建物の耐震性といった点において、考慮すべき課題も存在します。
これらのデメリットを事前に理解し、間取りの配置や素材の選定、適切な設備導入といった対策を、個々のライフスタイルや家族構成に合わせて計画的に行うことが極めて重要です。
こうした周到な準備と検討を経ることで、快適で機能的な、そして何よりも後悔のない理想の住まいを実現することができるでしょう。