お役立ち情報

天井のデザインは、空間の印象を大きく左右する要素です。
その中でも、一段高くなった天井が特徴の折り上げ天井は、部屋に奥行きと広がりをもたらし、洗練された雰囲気を作り出すデザインとして注目されています。
特に、照明との組み合わせによって、折り上げ天井の魅力を最大限に引き出し、より豊かで心地よい空間を演出することが可能です。
ここでは、折り上げ天井のデザインと、効果的な照明計画について掘り下げていきます。

折り上げ天井とは

天井を高く見せるデザイン

折り上げ天井とは、天井の中央部分を周囲よりも一段高く設けたデザイン天井のことです。
この構造的な工夫は、室内に視覚的な変化をもたらし、実際の天井高以上に空間を高く感じさせる効果があります。
天井に段差が生まれることで、単調になりがちな平らな天井に立体感が加わり、部屋全体の意匠性を高めるアクセントとなります。
ホテルのロビーなどで見られるように、空間に格調高い雰囲気を演出します。
折り上げ部分の高さや幅、段差の形状には様々なバリエーションがあり、それによっても空間の印象は変化します。

開放感と奥行きをプラス

一段高くなった中央部分は、視覚的に天井が持ち上げられたように感じさせるため、空間全体に開放感をもたらします。
さらに、この高低差は、部屋に奥行きのある印象を与え、広がりを感じさせる効果も期待できます。
特に、天井高を確保するのが難しい場合や、限られた広さの空間においても、折り上げ天井の手法を取り入れることで、実際の天井高以上にゆったりとした、開放的な空間を作り出すことが可能です。
これにより、リビングやダイニングといった、家族やゲストが集まる中心的な空間が、より快適でくつろぎやすい、心地よい雰囲気へと昇華されます。
視覚的なトリックにより、空間認識を豊かにします。

照明計画のポイント

間接照明で陰影をつける

折り上げ天井の持つデザイン的な魅力を最大限に引き出すためには、照明計画が極めて重要になります。
中でも、折り上げ部分の天井面や、その立ち上がり壁面を照らす間接照明は、空間の立体感を際立たせ、柔らかな光のグラデーションによる陰影を生み出すのに非常に効果的です。
光源が直接視界に入らないため、まぶしさを感じにくく（グレアを軽減し）、落ち着いた、そして洗練された高級感を演出することができます。
リゾートホテルのラウンジなどに見られるように、ムードのある空間づくりに貢献します。

空間の雰囲気を変える効果

照明の種類、その配置、そして光の色合い（色温度）は、空間の印象を劇的に変化させる力を持っています。
折り上げ天井の形状や、使用されている素材（木材、クロス、塗装など）、さらには部屋の本来の用途や、そこで過ごす人々に求める雰囲気に合わせて照明を慎重に選ぶことで、多様な空間演出が可能になります。
暖色系の光はリラックス効果を高め、昼白色や寒色系の光は集中力を要する空間に適しています。
このように、照明の選択一つで、空間の表情は大きく変わり、目的に応じた最適な雰囲気を作り出すことができます。

折り上げ部分への設置

器具の種類と配置

折り上げ天井の折り上げ部分には、様々な照明器具が用いられます。
代表的なものとして、天井の縁に沿って光を当てるコーブ照明やコーニス照明といった建築化照明器具があります。
壁面や天井面を均一に照らし、柔らかな光の広がりを生みます。
また、薄型でデザイン性の高いLED照明器具も多く採用されています。
これらの器具は、折り上げ部分の懐（奥行き）が限られている場合でも設置しやすく、スマートな印象を与えます。
器具は、縁に沿って均等に配置されることが多いですが、光の広がり方や意図する演出効果に応じて、配置場所や角度を検討することが重要です。
天井の懐の深さや折り上げ部分の幅といった構造的条件を考慮し、最適な器具の種類と配置を決定することが、理想的な光の演出へとつながります。

天井の懐と光の広がり

考慮すべき要素として、天井の懐（照明器具を隠すための天井内部の奥行き）の深さがあります。
懐の深さや器具から天井面までの距離は、光がどのように広がり、空間の明るさに影響します。
懐が深いと、器具を奥に配置しても天井面全体に光が広がりやすく、その反射光が床面にも届くことで、空間全体が明るく、より広く感じられる効果が生まれます。
天井面からの反射光は、空間に柔らかで心地よい明るさをもたらします。
懐が浅い場合は、光が天井面に広がらず暗くなりがちです。
このような状況では、光の広がりやすい薄型の器具を選んだり、あるいはライン照明を設置し、ダウンライトなどで補うなど、空間に必要な明るさを確保するための工夫が求められます。

まとめ

折り上げ天井は、高低差を生み出し、視覚的な広がりと奥行きを効果的にプラスすることで、デザイン性の高い住空間を創り出す優れた手法です。
この特性を最大限に活かすためには、照明計画がまさに鍵となります。
間接照明を効果的に用いることで、柔らかな陰影が生まれ、空間に豊かな表情と心地よい雰囲気がもたらされます。
器具の種類や配置、天井の懐などを考慮した照明計画により、折り上げ天井ならではの美しさを最大限に引き出し、より快適で洗練された空間を実現できるでしょう。